小鳥
前回のお話はこちら【とんでも物件 その1の② 大家さんの身内】
ごみ出しがサバイバル化した当時、猫ノは転職のタイミングで一時的に無職の状態でした。
そのため日中に家にいることも多かったのですが、太郎さんが外の2階に上がる鉄の階段をカンカンと降りたり上ったりする音が、しょっちゅう聞こえます。
外出する際もよく玄関先で出くわすのですが、トラブルを避けるため、なるべく感じ良く挨拶をしていました。
出かけるときは、しばらく耳をすませ、誰かが外にいないことを確認してからそっと玄関を出ます。
そういう生活はけっこうストレスになるものでしたが、新しい仕事が始まったらあまり家にいることもなくなりそれほど気にならなくなるかも、なんて思っていました。
ですが、ある出来事が起こります。
ある日の日中、自分の部屋にいた猫ノ。
チャイムが鳴ります。
覗き穴をのぞくと、太郎さん。
猫ノ、迷います。
居留守を使いたい。
でも、ついさっき、実は外で挨拶をしています。家にいる事は、バレているのです。
しばらく出ないでいると、またチャイム。
仕方なく、ドアを開けました。
そこには、小鳥が入った鳥籠を持った太郎さん。
鳥籠をこちらに掲げて言います。
「ここは犬猫はダメだけど、こういうのはいいんだよ~~~」
にんまり。目は真顔です。
たぶん、太郎さんは親切心で教えてくださったのだと思います。
小鳥を飼ってもいいのか、知りたい人はいるはずです。
しかし猫ノは、申し訳ありません、ゾッとしました。ぎゃー
そのあと猫ノがどういう対応をしたか、あまり覚えていません。
部屋に、来た。
また、来るかも。
それからです、外で足音が聞こえるたび、猫ノはビクビクするようになりました。
そして、些細なことに不安になり始めます。
例えばある時、家電の電源プラグをコンセントに差し込んでもなぜかグラグラしてきちんと最後まではまりません。
ライトで照らして2つの縦穴をのぞくと、なぜか、石。
細かい石がみちっと詰まっています。why?
別の日、外出から戻り自宅のトイレに入ると、便器の内側に、水ではなく黒いヘドロが流れたような跡。
外出前はきれいだったのに、why?
時々起こる騒音と些細な不思議が積もっていくと、ストレスからか猫ノはある考えに囚われます。
大家さんのご身内ならもしかして、この部屋の鍵も、手に入る?
思い込みです、きっと、思い込みだったんですが、
留守の間に侵入していたら、という考えが払拭できません。
そこで猫ノ、秋葉原へ。
店員さんに相談し、外出中ずっと録画できる小型カメラを購入。
外出の際に室内に設置します。
ですがこれは、何度試しても短い時間で録画が止まってしまい、なにも確認できませんでした。
製品を2回交換してもらいましたがうまくいかず、返品。 (ありがとう、あの時の親切な店員さん)
家に居たくない猫ノは弟に相談、車で数時間の距離を駆けつけてくれました。
(ありがとう、心優しい弟)
また、わりと近くに住んでいた友人にも相談、パラノイアに陥った猫を温かく家に迎えてくれました。
(いつもありがとう、優しい友人一家。そして迷惑かけてごめんね)
そして、入居から1ヶ月が経った頃、やっと猫ノは管理会社さんへ相談するのでした。
次回、続きをまとめようと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

次回、『後日談』
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