大家さんの身内
前回までのお話はこちら【とんでも物件 その1の① 仲介業者さんが勧めない物件】
管理会社さんから無事に鍵を受け取り、新居の扉を開けた猫ノ。
室内を見て、違和感を覚えます。
内見の際、これからクリーニングが入ると聞いていたのですが、室内が何も変わっていないように見えるのです。
ドア枠の上に生えているもさもさのホコリ、お風呂場のピンクのカビ、下駄箱の上に何かのごみとゴ〇ブリの欠片。うぇーい
8年後、2025年現在の猫ノならすぐ管理会社さんへ電話しますが、2017年当時の猫ノはそうしませんでした。
初日からクレーマーと思われそうで気が引けてしまったのと、単に電話ややりとりが面倒だったのと、荷物の搬入予定が迫っていたからでした。
掃除の手配を待っている時間はありません。
結局、自分で掃除するという選択をしますが、このことは後にちょっぴり後悔することになります。
その後、猫ノは大家さんへご挨拶に行きます。
実はその物件、管理は管理会社さんでしたが、持ち主である大家さんがアパートのすぐ裏手に住んでいて、またアパート自体の2階(猫ノが借りた1階の部屋の真上)には大家さんのご身内が住んでいるという事でした。
その事はまったく気にならないわけではありませんでしたが、以前も同じような物件に住んでいたこともあったので、普通に暮らしていればなんて事はないと考えていました。
そんなわけで引越し当日、菓子折りを持って大家さんの家へ。
大家さんはおそらくご夫婦で、高齢とまではいかないくらいのお二人。
掃除のことにはもちろん触れず、簡単にご挨拶をしました。
その後、引越し作業で忙しくしているうちに数日がたっていきますが、
徐々に気になることが起こり始めました。騒音です。
ある日の明け方、5時頃です。
天井から、ドンドン!ガンガン!という大きな音がして目を覚まします。
金槌で床や壁を叩いているような音です。
どのくらいの間だったかは覚えていませんが、しばらく続いた後で静かになります。
別の日のお昼頃。
猫ノはテレビを持っていなかったのですが、ものすごいテレビの音が部屋中に響きます。何を言っているかもはっきりと聞こえます。おそらく、ご近所中に聞こえていたと思います。
テレビってこんな音量出せるんだ、と思いながら窓を開けると、音は真上のお部屋から流れている様子でした。
また別の日です。外出から戻るとアパートから重低音ミュージックが流れています。
ドスンっドスンっとみぞおちに響く感じのウーハー。アパート全体がスピーカーになっているようでした。音はやはり2階からです。
そんなことが度々ありましたが、この時点ではまだ管理会社さんへ訴えることはしませんでした。
面倒くさがりで事を荒立てたくない性格だったのと、実は入居後にご身内と思われる男性に出くわしてご挨拶をしたのですが、その際にギリっと睨まれ怖いと感じてしまったこともあり、関わりたくなかったのが大きかったです。
具体的な描写は述べませんが、ご身内は30~40代の男性、仮に太郎さんとします。
入居から数週間、ほかにも気になることが起こります。
その物件、ごみ出しの場所が数件隣の広場の前だったのですが、ある朝ごみを出しに行くと、広場に人の気配がしました。
ふっと見ると、太郎さんです。
太郎さんは広場の奥に腹ばいに身を伏せていて、こちら向きに何かを構えています。
ライフル型のモデルガンのようでした。(まじで?)
猫ノは、サーっと視線をそらし通り過ぎようとしましたが、もう少しで太郎さんの視界から消えると思ったその時、音がします。
パンっパンっと軽く乾いた音と、BB弾が跳ねながら地面に落ちるカツンッカツンッという音。
発砲です。
猫ノに弾は当たらなかったので単なる威嚇攻撃か標的にされたのかはわかりませんが、その日以降、ごみ出しがサバイバルになります。
また太郎さんはよくアパートの周囲をウロウロされていてとにかく出くわすことが多く、知人が来た時には、邪魔なんだよ!と怒鳴られることもありました。
ここまでは猫ノ、まだ笑い話で済ませられます、しかしこの後の出来事から、徐々にパラノイアに陥ることになります。
続きは次回以降、まとめようと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

次回、『小鳥』
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